作品紹介 「お片づけの依頼はエルムバンクまで」 作者 赤坂 パトリシア
今日ご紹介する作品はこの仕事がおもしろい！ 「働くヒト」小説コンテスト最終選考に残っている作品の中から。（2017/08/30時点）
「この仕事がおもしろい！ 「働くヒト」小説コンテスト」の最終選考に残った作品はどれも個性的な作品ばかりで面白い。選考結果は2017/10頃発表されるので、今の内にチェックしておくと、既に読んだ作品が書籍化される様子を見守る経験ができます。
WEBで読んだ作品を書店で見かけてニマニマできるかもしれませんね。
今日紹介させていただく「お片づけの依頼はエルムバンクまで」は、イギリス在住の作者さんの持つ知識が十分活かされている作品です。緻密な設定、深い考証を背景に作品の世界へ読者を導いていく既に書籍化されていてもまったく不思議じゃない作品です。
私が読んだ際には「WEB小説だからと言って軽く見ちゃいけないよな」と驚き、改めてWEB小説界の魅力に気づかされました。
語彙力に乏しい私の感想などでは、この作品の面白さが伝わらないのではないかと心配になりますが、是非読んでいただきたいのでちょっとだけ。
ある行動が周囲からいかにおかしいものと見られようと、その人自身には意味があり大切なものかもしれない。その理由を知ると、おかしい行動に見えるものだとしてもその人を現わすために必要な行動。言葉にすると当たり前のことでも、その人を知るためのきっかけが必要であり、大勢の人はそのきっかけを持たない。
この作品では「プロフェッショナル･オーガナイザー」という「依頼されて個人の家やオフィスを片付ける手伝いをする仕事」をするマキカが出てきます。彼女が受けた依頼がきっかけとなり、一人の人間にとって大切な想いが明らかになっていきます。物を整理すると同時にその人の想いも一緒に整頓されていく過程に、同じく個々人が抱く想いを持つ読者は惹かれ、この作品の魅力を知ることになるでしょう。
とても素敵な作品で、映像化するとしたらアニメでは無く実写映画で観てみたいと思わせられる作品です。文庫本1冊程度の分量ですので、是非、読んでみていただきたいと思います。
