作品紹介 「レインドロップ*ティアドロップ」 作者 六月菜摘
きらきらした滴が印象的な短編をご紹介。
主人公の河野露花は、二年付き合った彼と別れある高原へ旅行へ行く。
彼への気持ちを残したまま、主人公は誕生日を「天気雨」という名の小さなホテルで過ごす。そこで主人公は一人の男の子と出会い、自身の弱い気持ちを自覚する。発熱して倒れた主人公が目覚めたとき、主人公の前に居たのは……。
この作品では、雨と飴とを使って状況や心情の描写しているのですが、滴や飴の透明感がキラキラとした情景をイメージさせ、とても効果的で読後も記憶に残る。透明な色とりどりのビー玉も私は思い出していましたが、読み終わって考えると、イメージが分散しちゃうからやはり雨と飴だけでいいなと思ったり。
「作品紹介 「葉月先生の恋」 作者 六月菜摘」でも書いたことですが、この作者さんの作品は可愛らしくそして癒やされます。作品途中の切なさも、辛すぎるほどの感傷を呼び起こさせない。大人の恋愛ものを読むと感情移入して深刻になりがちなのですが、作品内に過度にのめり込まずに済むので気軽に読めます。
六千字もない作品ですので、通学、通勤帰りにでもサクッと読んで楽しんでください。