作品紹介 「めぐりの星の迷い子たち」 - 作者 陽澄すずめ(すずひめ)
上の「第4回カクヨムweb小説コンテスト」参加作品から、SF群像劇をご紹介。
荒野となり、疫病も蔓延し、生きづらい世界となった地球。
そんな地球で未来に希望を持てないまま生きる人間たち。
半陰陽で生まれた「神の化身」として崇められるナギとナミの双子。
月から地球へと追放された植物遺伝子学者、トワ。
病気の母と二人で暮らす孤独な薬草師、サク。
それぞれの事情を抱えた彼らの行動が、荒れ果てた地球上で交錯し繰り広げられる。
彼らは地球に希望をもたらすことができるのか?
彼らそれぞれの想いは?
当エントリは、第四章の第九話を読み終えた時点で書いています。
心理と情景描写が丁寧で、苛酷な状況に置かれている登場人物たちへの没入感を堪能できる作品です。章ごとに異なる視点で描かれる作品世界への悲壮感や、登場人物たちの人間らしさを味わっているうちに、次話を待ち望む期待でドキドキさせてくれます。
緻密に考えられた作品世界は寂寥感に溢れている。それだけに、登場人物たちが人間らしくあがいている姿が鮮明に心に浮かびあがってくる。温かさ、悲しさ、幼さ、必死さ、それらが一つ一つ胸に染みてきます。
人間像をくっきりと伝えてくる作者さんに素直に感動しています。
作品は佳境に入っています。
どのような結末が訪れるのか? 楽しみでなりません。