作品紹介 「翠浪の白馬、蒼穹の真珠」 作者 結城かおる
中華風ファンタジー作品をご紹介
辺境の北方部族の姫君レツィンが、国都の瑞慶府へ送られる。そこで3人の男と出会う。王の酷い政治が行われる中、レツィンはそのうちの一人と恋に落ち、そしてこの国の真実を知り男と共に瑞慶府から去る。
武芸に秀でたレツィンが王宮で女官となり、周囲の人達と接していくうちに精神的に成長していく様子が、丁寧に選ばれた語彙で感情豊かに活き活きと描かれている。
WEB小説にはライトノベル的な作品が多いけれど、文芸作品と呼んで構わない作品もそれなりにある。この作品もその一つだ。ストーリー、世界観、展開、描写、どれをとっても奇をてらわずに、読者に正面からぶつかってくる。こういった作品で読者を楽しませるのは作者に力量が求められるだろう。作者さんにはその力量がある。
中華風な作品は、描写で使用される語彙に特徴があり、まずそこで読者の好みが分かれるかもしれない。だけど、三国志や水滸伝などで中国の時代小説に親しんだ方には、違和感のない描写とストーリー展開に感心して貰えると思う。
欧米や日本の中世時代風作品とは一味違う内容を、是非一人でも多くの方に堪能して貰いたい。レツィンを待つ苛烈な状況の先に待つものを読者に味わっていただきたいです。